梨泰院クラス考察 Part2 - 「パクセロイの名言、韓国ドラマに名言は付き物。」

梨泰院クラス考察 Part2 - 「パクセロイの名言、韓国ドラマに名言は付き物。」

-「梨泰院という街」「パク・セロイの名前」について綴っている、梨泰院クラス考察 Part1をまだご覧になっていない方は こちら からどうぞ。

 

梨泰院クラス考察 Part2の始まりです!

 

 -韓国ドラマに名言は付き物?

「全部叶えてやる!

今回は、多くの人を魅了する梨泰院クラスの台詞とその背景にある韓国の文化や意味に着目していきます。

日本のドラマにも、数えきれないほど印象的で、素敵な台詞がありますよね。

例えばプライドで木村拓哉が演じる里中ハルの「Maybe」、

7月から帰ってきて話題が尽きない、堺雅人が演じる半沢直樹の「倍返しだ!」、

ドクターX〜外科医・大門未知子〜で米倉涼子が演じる大門未知子の「私、失敗しないので。」など。

表情やシーンまで回想できてしまうほど、印象に残る強烈な決め台詞です。

韓国ドラマには「決め台詞」のような一言ものより、少し長めの「名言」が登場するのが、大きな特徴だと思います。

そしてその台詞がドラマ全体を表す、サマリーのようなものだったりします。

 

例えば「パリの恋人」「シークレット・ガーデン」「太陽の末裔」「トッケビ」の脚本家として有名なキムウンスクさんは、

常にウィットに富んだ独特な言い回しで女性の心を掴むと話題になります。

それゆえに「名言製造機」というあだ名がつくほど。

情緒的で感情に訴えかけてくる韓国ドラマにおいて

名だたる作品やヒット作には名言が付き物。

台詞の完成度がそのまま脚本の完成度に直結するとも考えられています。

 

早速梨泰院クラスのストーリーを混えながら、独断と偏見のもと、特に印象的だった台詞をピックアップしていきます。

なるべくネタバレを避けたいと思います!

 

セロイはお父さんに教えられた「信念を持って生きろ」(소신있는 삶)を胸に、

自分の信念(소신)を持って生きることを不器用すぎるほどに求め続けます。

しかしあらゆる場面で、人としても、道徳的にも正しかったはずのセロイの行いは報われず、

信念、プライド、道徳までもが生きることにおいては、単なる妨げとまで思えるぐらいに不憫な境遇に陥ります。

そしてそのすべての困難な壁は、

圧倒的な経済力を基盤にした権力を持つチャン家によってつくられたものでした。

 

韓国では、日常的に갑과을≒甲乙の比較を前提に会話が成立しています。

ドラマや映画でも続出する言葉です。

お金を払う方が甲、サービスを提供する側が乙。というイメージから転じて、

皮肉に社会におけるの「順序」を割り当てて、

お金持ちが甲、そうでない人たちが乙と表します。

そして過剰な甲側の権利の主張や、経済力のある人間の横暴が갑질(カプジル≒甲の行い)という言葉で表現されます。

例えば少し前に世間を騒がせた財閥令嬢による「ナッツリターン」の事件などは

まさしく甲の行いとして大きく報道され、多くの韓国の一般市民は憤っていました。

 

梨泰院クラスでは、「チャングンウォンが法律」とされている高校内で、

目の前でいじめが起きていても生徒や先生はそれを黙認していましたね。

チャン家が圧倒的な甲としての位置付けで描かれているのがわかるシーンであり、まさしく「甲の行い」そのものでした。

こうした「甲の行い」をぴったり定義できる日本語や英語は存在しませんが、

社会的弱者への横暴の類は残念ながら、どの国にも一定数あるのが現実です。

世界中に蔓延する不条理や息苦しさが梨泰院クラスのヒットの裏側にはあると考えています。

セロイのおかげでスカッとするのも同じ理由だと思います。

この息苦しさ、不条理に対するセロイの信念が伝わる台詞をご紹介したいと思います。

チャン家のカンミンジョン理事に復讐を成し遂げたその後を問われ、セロイが放った言葉です。

Netflixの字幕とは異なりますが映像の速さに合わせる必要がないので、

なるべく元の台詞に忠実にお伝えできればと思います。

 

-「僕が欲しいのは自由です。」

「僕が欲しいのは自由です。

誰も僕や僕の仲間を傷つけることができないように、

自分の言葉や行動に重み、力が欲しい。

どんな不当や、誰であっても振り回されることのない、

自分の人生の主体が自分であることが当たり前の、

信念に対価がない、そんな人生を生きたいです。」

 

経済力が伴わなければ信念を貫けない。

社会を生きる上で、信念を持って行動することには対価が要るということを

淡々と受け入れながらも、闘志を燃やすセロイが印象的でした。

「自分の人生の主体が自分であることが当たり前の、信念に対価がない」

という言い回しは難しい言葉は使われてないにも関わらず

深み満点の名言だったと振り返ります。

 

チャン家による「甲の行い」と対峙し続ける梨泰院クラスですが、

直接台詞としてしばしば出てきていた、호구(ホグ≒カモ、利用されやすい人、お人好しのような意味です。)

も印象的です。

いろいろ知りたいから本を読んでいるというセロイにつっかかるスングォン。

「俺たちのように貧乏に生まれてきた人は勉強したところで、使い道がない」

と、やられっぱなしの乙側でいることを容認し、

足掻こうともしないスングォンにセロイが放った台詞です。

 

-「自分の人生に安値をつけるカモ野郎」

「お前の人生はもう終わりなのか?

自分の人生に安値をつけるカモ野郎が。

(セロイは怒ったスングォンにボコボコに・・・)

肉体労働、船乗り、そこから始める。

必要なものはなんでもやる。

俺の価値をお前が決めるな。

俺の人生はこれからで、

俺は望むものをすべて叶えて生きる。」

 

韓国にはシーンスティーラーという主演ではないが、目立つ活躍をする人を指す

言葉がありますが、スングォンさんはまさにこれですよね。

二人とも圧巻の演技でした。

お前の論理を俺に納得させるなと言い放つセロイはとてもかっこよかった。

どう生まれてきたから、学がないから、前科者だからとか

そのすべてが単なる言い訳に過ぎない。

欲しいのものはたくさんあるはずなのに自分を騙して、納得したフリをして生きる。

それを人生の価値を下げる、安値をつけると表現した言い回しが素晴らしかったです。

だらだらしていられないと、突き刺してくる言葉でしたね。

現代人病ともいえるかもしれませんが、

賢い顔をして諦めてしまう現代人の本音を刺激してくるセロイのパワーが、

梨泰院クラスのブームをつくっているのではないでしょうか。 

余談ですが、GENERATIONSの片寄涼太さんがこのシーンのモノマネをしてましたね。笑

かなり面白かったです。

 

ネタバレを避けるべく割愛しますが、 

最終話で、ボロボロのチャン会長にセロイはまた호구 ホグという単語を使います。

「僕がカモに見えますか?」 

震えるシーンでした。

 

自分の価値を勝手に決めつけてくる他人や共感できない論理の納得を強要してくる

あらゆる「甲」たちに対して、

常に忘れたくない、自分が自分の主体でいつづけるための一言ではないでしょうか。

 

個人の信念、個人の考えは、

決して多勢に流されたり、周りの顔色を伺って妥協すべきものではありません。

しかし残念ながらそうしろという社会の圧力は意外と強力なものです。

負けじと自分が自分の主体であることを当たり前に主張し、強く生きていきたいですね!

 

規模に関係なく、思いを持ってカルチャーをつくる人々を、

社会の「乙」にさせないことが、clolineの役目だと考えています。

だからこそclolineに入店していただくブランドは、規模や地位などは一切基準に含めていません。

熱い思いやこだわりの方がはるかに大切だと考えるからです。

clolineで取り扱うブランドはいずれも信念のある、素晴らしいブランドですので、

ぜひご覧いただければと思います。

 

▼ブランド紹介

 

「SONSHINBAL」

2013年創業のSONSHINBALは韓国語で「手作り靴」という意味をもつオーダーメイドシューズブランド。

SONSHINBALが最も大切にするブランド哲学は「発展」で、

3D PRINTERやSCANNERといった最新技術を用いたシューズ製作の実現に向けて、たゆまぬ研究を行う。

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「LUIRE」

韓国の若者の間で話題のファッション・インフルエンサー”オ・ギュファン氏”により2011年に設立されたクリエイターズブランド。

ジャンルを問わないファッション知識を生かし、こだわりや世界観を前面に出した自社商品や、

優雅な雰囲気を漂わせながら綺麗で上品にまとめあげるコーディネート提案が特徴的。

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