韓国ドラマのファッション考察 Part1 - 「ウヨンウ弁護士は天才肌」編

NETFLIXで配信されると、日韓のみならず世界各国でTOP10入りを果たした「ウヨンウ弁護士は天才肌」において、ファッションは物語の中でも重要な役割を果たしています。

主人公である新人弁護士ウヨンウ(パク・ウンビン)は、自閉スペクトラム症をかかえ、様々な困難に直面しながらも、IQ164の天才的な発想力と行動力で同僚とともに多くの事件を解決に導いていきます。ヨンウの特徴的な生い立ちも含めて、単なる事件解決ものドラマではなく、人と人との関係性や登場人物のパーソナリティがストーリーに大きく影響する印象的なドラマです。

ヨンウのファッションの特徴は?

”自由にファッションを楽しみながら、普遍的なものを取り入れる”

情報処理にフィルターがかけられないために、必然的にミニマリストに描かれることが多いヨンウ。それでもファッションでは、パステルカラーなアイテムやクラシックなジャケットなどいろいろなアイテムを着て遊び心あふれるスタイルを楽しんでいます。

一方で、終始一貫して変わらず身につけているアイテムが一つだけあります。

それが、手元を支えるアイテムとして、そして”一所”懸命な彼女を表現するアイテムとしての彼女のカバンです。 どことなく慌ただしさを感じさせるヨンウ。それでも、変わらずそばにある、普遍なものの象徴として常にカバンだけは同じものを使うことで、物語を通じて違和感なくキャラクターの一貫性を保っています。
(改めて上の予告動画を見ても、ストーリーのなかでヨンウの様々な表情が見られますが、カバンだけは同じものを使っていることが見て取れます。)

その日の気分やトレンドに応じて、しっかりファッションは楽しみながら、自分の芯の部分、本当に大事にしている価値観は、一貫性を持って自分なりのドレスコードに取り入れていく。ヨンウのスタイルは、現代を生きる多くの人にとって参考になるスタイルであると感じます。

ウヨンウのカバンはどこのブランド?

“韓国のデザイナーブランド SEMICODEについて”

ヨンウのバッグは、韓国のデザイナーブランド”SEMICODE”のアイテムです。SEMICODEは、動物革に代わる、最先端で持続可能な素材でプロダクトを製作するデザイナーハンドバッグブランドです。

最近では、カバンは、ジュエリーを除いて最も高価なアクセサリーの一つとなっており、ラグジュアリーの最上位に位置付けられています。そのため、マイクロバッグのような機能性を捨てたバッグすら流行り始めています。 しかし、その本来の価値は単なるデザイン性だけでなく、機能性、収納力、素材に対するこだわりにあったはずですし、かつて全てのバッグブランドはその志があったはずです。

SEMICODEのバッグには、今でもその物作りをしている、ある意味での昔らしさを感じる心地よさもあり、それでいてエコバッグのような消耗品ではなく、自己表現の手段としてファッショナブルに使えるアイテムになっています。 全ての働く女性、ファッションを楽しむ女性、ウヨンウに共感した女性全てが楽しめるアイテムです。

Capture bag - crinkle choco brown

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- そもそも、韓国ドラマにおけるファッションとは?

”キャラクターの生い立ち、パーソナリティ、ストーリーそのもの”

韓国ドラマは、キャラクターの個性を強調するために衣装デザインにこだわりを持っています。

例えば、「ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜」では、いじめっ子役のイ・サラ(キム・ヒオラ)は真緑や紫といった、鮮やかな原色の衣装を身に着けている一方で、いじめられっ子の主人公ドンウン(ソン・ヘギョ)は終始暗い服を身につけています。

人気ドラマ「梨泰院クラス」では、パクセロイ(パク・ソジュン)というたくましく強いキャラクターが、さらに無骨さを強調するためにオーバーサイズの大きな服を着用していますし、悪役でドラ息子キャラのグンウォン(アン・ボヒョン)は派手なスーツを身に着けており、キャラクターの特徴が衣装から明確に伝わります。

このように韓国ドラマにおいて衣装選びは、キャラクターの特徴や物語の進行に影響を与えており、ファッションが物語に欠かせない要素となっております。 キャラクターが口を開く前から、キャラクターの生い立ちやパーソナリティ、人物像への説明が始まっていると言えます。

最後に

ウヨンウを演じたパクウンビンの第59回百想芸術大賞での授賞式コメントは話題を呼びました。

「世の中を変えるために一役買おうという壮大な夢はありませんでしたが、このドラマに関わりながら、少なくとも以前より親切な心をもってもらえるように、そして、それぞれがもつ特性を‟違い”ではなく‟多様さ”として認識してもらえるようにと願いながら演じました。」

ファッションは、何よりも自由です。非言語であるがために境界線がなく、多様性が認められています。 個々の価値観を表現すること、それが伝わらなくとも自分にとっての大事な価値観を失わないこと。ファッションを通して貫きたい”自分が大事にするドレスコード”は何であるべきか。ウヨンウのドラマのストーリーとファッション、パクウンビンのコメントは私たちに問いかけているように感じます。



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