clolineのサービスとは少し離れてしまいますが、
韓国カルチャーという大枠で、話題の韓国映画パラサイト 半地下の家族について、
熱が冷めきる前に少しお話したいと思います。
ポンジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」(기생충) は、
日本での興行収入が40億円突破、全世界での興行収入は2億4590万ドル(約2兆円)に及ぶ、凄まじい記録を叩き出しています。
アメリカではたった3つの劇場でスタートして、1000もの劇場に増えていったようです。
日本で「カメラを止めるな!」の劇場数がどんどん増えていったような状況なのでしょう。
皆さんもSNSで友人の観てきた!投稿をたくさん目にしていたのではないでしょうか。
今回は、韓国のSNS上でユーザーが投稿してバズってた、
【カンヌ パルムドール賞 と オスカー4冠の凄さ比喩】
というものが面白かったので、ぜひご紹介させてください。
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世界3大映画祭と称される映画祭があります。
それは、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭。
これらの映画祭は、商業的な興行ではなく芸術的な価値を讃え、賞を与えます。
一般人が受賞作品をみると「なにこれ?何の映画?」「めっちゃつまらない」みたいな
感想になってしまいます。
映画を娯楽ではなく芸術として考えているように思います。
一方、アカデミーはどんなところか。
アカデミーは映画祭ではなく、巨大なハリウッド資本のための授賞式です。
大衆に人気があって、お金がかかってる商業的な映画の中で感動的だったら芸術的だったり
社会的な価値を付与する映画に与える賞です。
そしてアカデミー賞の授賞式は徹底的に「ハリウッド映画」のための授賞式といえます。
故に"親切"に「国際映画賞」部門が別で設けられています。
パラサイト 半地下の家族もこの賞一つ止まりが普通といえば普通でした。
しかしパラサイト 半地下の家族は4冠を達成します。
ちょっと待った…
パラサイトはアカデミー賞(オスカー)4冠達成だけでなく、
カンヌでパルムドールを受賞していましたね。
「プライベート・ライアン」という映画がアカデミー賞4冠の記録を持っています。
アカデミーでは、
「面白く、興行収入の成績も素晴らしく、映画もよくできていて、感動的で、社会的に警鐘を鳴らす映画」と判断したのでしょう。
しかし、世界3大映画祭ではノミネートどころか、招待すらしてもらえていません。
世界3大映画祭からすると、「よくできた商業映画だが、芸術的な感覚はゼロ」と判断したともいえます。
即ち、アカデミーと世界3大映画祭というのは同じ「映画」だけど、全く違う観点で映画を判断し、賞を与えています。
え?カンヌとアカデミーの同時受賞?
なら「商業的で面白く、芸術的な価値を持っていて社会に警鐘を鳴らす映画」を創れば良いです。
wwwwwww
ピカッソがウェブトゥーンを描いててその面白さに多くの人が感動。
あ、そして芸術の殿堂(芸術の殿堂は韓国最大の総合芸術文化施設)で展示会も。
ありえなっ!www
商業と芸術は徹底的に異なるバウンダリーです…!
そうです。故に両方で同時受賞した作品は1955年の「マーティ」という作品を最後に、
世の中にでてきていません。
例えばその何だろう?
車で言うと、100km/h加速 2秒台でコーナリングも見事なスポーツカーなのに、
4人乗りセダンで乗り心地抜群…
陸上選手で言うと、100m金メダル取って、
マラソンでも金メダル…
クッパで言うと、濃厚で味わい深いのに、
淡泊でさっぱり…
まぁとにかくこれを「パラサイト」がやり遂げたんです。
今日は「국뽕」に酔いしれましょう。
ママ、Drop the beat!
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愉快で明快な文章です。笑
「국뽕」という韓国語は、
국 は国を指し、뽕 は肩パッドなどのパッドを指してます。
最近の造語で、自国が誇らしくなって、愛国心に満ち、自画自賛してしまうというような意味です。
韓国の若者が「パラサイトやばすぎ!凄すぎ!韓国イケてるわ!」と盛り上がることを指し示す単語のイメージですね。
ポンジュノ監督の授賞式でのコメントも印象的でしたね。
(韓国国内では優秀すぎる通訳家、シャロンチョイさんも話題でした。)
「가장 개인적인 것이 가장 창의적인 것이다」
:「最も個人的なことが、最もクリエイティブなことだ」という言葉を知り、感銘を受けました。
「私が若かりし頃、映画を勉強していた時に深く心に刻まれた言葉がありました。それは“最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ”です。これは、私たちの偉大なマーティン・スコセッシの言葉です。」
と述べ、手を伸ばしてマーティン・スコセッシへの拍手を誘導。会場はスタンディングオベーション、拍手喝采につつまれていました。感動的なシーンでした。
(手を指し伸ばす、ポン・ジュノ監督)
(それを受け取るマーティン・スコセッシ監督)
clolineが扱うブランドは、一切規模を問いません。
個人でファッションと向き合っているような小規模なブランドでもカルチャーを、クリエイティビティを本気で追いかけているし、それが十分に表出しているからです。
世界で認められた作り手たちが「個人的なこと」への価値を認め、発言してくれています。
自由に表現し、追求し、もっともっと多くのクリエイターが活躍できる世の中になってほしい、
その後押しをしたいと強く思います。
パラサイトの内容に関しては、繊細な演出と伏線がとても素晴らしいので機会があればまたお話いたします。